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2018年11月15日
開催期間 : 2018年12月15日(土)〜2019年3月10日(日)
開館時間  : 午前11時〜午後6時
休館日※2  : 月曜日
入場料※3  : 一般・大学生:500円(400円)/高校生以下無料
主催  : NTTインターコミュニケーション・センター [ICC](東日本電信電話株式会社)
現代の文化としてのヴィデオ・ゲームは、文化庁メディア芸術祭※4においても顕彰の対象となり、現代の社会にも大きな影響力を持つものとなっています。それは、現代の社会のあり方を反映したものであり、また、これからの社会のありようを見出すことができるものと言ってもいいでしょう。
本展覧会では、現代のヴィデオ・ゲームのあり方や、それらが創り出す文化を検証することで、そこからどのようなことが読みとれるのかを、インディ・ゲーム※5、及び、ヴィデオ・ゲーム・アート※6の2つの動向から捉えることを試みます。
展覧会タイトルの「ゲームスケープ(Gamescape)」とは、ゲームから見た風景・社会という造語で、ヴィデオ・ゲームがそれぞれのプレイヤー、製作者にもたらす新たな世界観を表現しています。
作家:Playables(ミヒャエル・フライ&マリオ・フォン・リッケンバッハ)
作品名・発表年:《Plug & Play》2015、《KIDS》2017-19、《COIN》2017
アニメーション作家のミヒャエル・フライとゲーム・デザイナーのマリオ・フォン・リッケンバッハによるユニット、プレイアブルズ(Playables)は、白黒のみで構成された3つのミニマルな作品を出展します。
オスとメスのプラグ人間同士の感情を欠いた交流を描く《Plug & Play》は、フライによる同名の短編アニメーション作品をゲーム化したもので、YouTuberたちによる反応やiOS、Steamなどの主要プラットフォームのレヴューを読み上げる“Review Reader”、さらにはゲームを構成する部品である「スプライト・シート」などとともに展示されることで、インディ・ゲームをめぐるコミュニティ・経済圏の存在をも可視化します。
群衆シミュレーターの《KIDS》は、来年リリース予定の新作で、インディ・ゲームが得意とする匿名化された人間像を象徴的に表現します。
《COIN》は、ヴィデオ・ゲームのインタラクティヴ性が持ち合わせる依存性を皮肉る小さなプロジェクトであり、現在に至るまで、1200万枚以上のコインが世界中の人たちにより無為に「貯金」されています。
作家:和田淳
作品名・発表年:《マイエクササイズ》2017-19
和田淳は、心地良い触感と間の表現によりアニメーション界で高い評価を得ているアーティストであり、この作品は、和田が取り組む、初のヴィデオ・ゲーム作品です。
ボタンを押すことで「いがぐり坊主」が腹筋をし、秋田犬にバフっとめりこむ…、ただそれだけのシンプルなゲームですが、ヴィデオ・ゲームのインタラクションを通じて、和田が追求する、アニメーションというフォーマットでは必ずしも受容者に届くとは限らない「個人的な気持ちよさ」が、プレイヤーとダイレクトに接続されます。今回は、「ボタンを押す」という経験にフォーカスを当てるための特別な装置が用意された「展示版」が出展されます。
作家:Giant Sparrow
作品名・発表年:《What Remains of Edith Finch》2017
家族唯一の生き残りとなった17歳の少女エディスが生家の屋敷へと戻り、その奇妙に増築された家のなかで、遺品に触ることで、自分以外の一族が如何にして死んでいったのかを追体験します。
少女のPOV(Point Of View=視点)となる画面には独白のテキストが浮かび上がり、追体験のシーンでは、死の間際の穏やかで騒がしい狂気が緩やかに画面を侵食します。主観の奇妙な変容を描くそのストーリーテリングは、ゲームのみならず映画や文学の延長線にも考えられるもので、ウォーキング・シミュレーターというゲーム・ジャンルの持つ可能性を存分に発揮しています。
[このほかの出品予定作家]
アブドゥッラー・カラム&Causa Creations、Playdead、ルーカス・ポープ
作家:ハルン・ファロッキ
作品名・発表年:《パラレル I-IV》2012-14
《パラレル》は、4つのパートからなる映像インスタレーションです。様々なヴィデオ・ゲームの映像を参照しながら、ゲームの中で描かれる自然の風景や世界の境界、オブジェクトの性質、人々の振る舞いについて追求していきます。そこには、現実の風景とは全く異なる論理や法則によって構成されるヴィデオ・ゲーム特有の世界の美学が現われています。
作家:ミルトス・マネタス
作品名・発表年:《ミラクル》1996 ほか
ミルトス・マネタスはネット・アート(net.art)のムーヴメント「Neen」の首謀者であり、1990年代からヴィデオ・ゲームを扱った作品を数多く残しています。特に「マシニマ」(ゲームエンジンを用いた映像作品)として制作された《ミラクル》はフライトシミュレーションゲームで、ある角度から着水すると戦闘機が絶妙なバランスで水面の上を滑走しつづける様子を映し続ける映像作品です。通常のプレイとは異なる形でゲームと関わることで生じる奇妙な瞬間を作品にしています。
作家:山内祥太
作品名・発表年:《ZONE EATER》2017
ヘッドマウントディスプレイを使用した体験型のVR作品です。3Dスキャンによって形作られた部屋の中に、同じく3Dスキャンで作られた少し不気味な人物たちが登場します。鑑賞者は、コントローラーを使って人物に憑依することで、その人物に関する様々な行為をコントロールできるようになります。
この作品では、VRにおけるプレイヤーの身体性と、プレイヤーとゲーム内のキャラクターの憑依的な関係性が組み合わさることで、体験者自身の存在を不確かなものへと変えようとします。
[このほかの出品予定作家]
COLL.EO、ジョセフ・デラップ、イップ・ユック=ユー、JODI、谷口暁彦、ジョナタン・ヴィネル、ブレント・ワタナベ
土居伸彰(どいのぶあき)
1981年東京生まれ。株式会社ニューディアー代表、新千歳空港国際アニメーション映画祭フェスティバル・ディレクター。インディペンデント・アニメーションについての研究者としてキャリアをスタートさせたのち、長編作品の劇場用配給、イベントの企画等を通じて、世界の現代作品を精力的に紹介する事業を行なうようになる。著書に『個人的なハーモニー ノルシュテインと現代アニメーション論』(日本アニメーション学会賞受賞)、『21世紀のアニメーションがわかる本』(ともにフィルムアート社)。近年はプロデュースも積極的に行ない、インディ・ゲームとアニメーションの連携の可能性にも着目。和田淳らとともにゲーム『マイ・エクササイズ』を開発中。
谷口暁彦(たにぐちあきひこ)
1983年生まれ。メディア・アーティスト。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース専任講師。 メディア・アート、ネット・アート、映像、彫刻など、さまざまな形態で作品を発表している。主な展覧会に「[インターネット アート これから]?? ポスト・インターネットのリアリティ」(ICC、2012)、「SeMA Biennale Mediacity Seoul 2016」(ソウル市立美術館、2016)、個展に「滲み出る板」(GALLERY MIDORI.SO、東京、2015)、「超・いま・ここ」(CALM & PUNK GALLERY、東京、2017)など。
会期中には出品作家、来日するアーティストらによるイベントを開催予定です。
所在地 | 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー4階 (京王新線 初台駅東口から徒歩2分) |
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